当社は昭和2年創業のガラス加工会社で、現在は防犯ガラスにかなり力を入れています。
これまでのお話しでお分かりと思いますが、空き巣は約7割が5分以内に侵入します。そして侵入経路の約7割がガラスを破るものです。
防犯ガラスと言われているものにもいろいろ種類があります。家庭でもっとも使われているフロートガラスは、ドライバーで簡単に穴が空いてしまい防犯性能は低い。網入りガラスは丈夫だと思われがちですが、実はフロートガラスより弱いのです。家庭では一般的ではありませんが、ビルの玄関ドアなどに使われている強化ガラスは確かに割れにくいですが、いったん割られてしまうとその部分はガラスが全部落ちてしまい、素通しになるので防犯の意味をなさなくなります。複層ガラスは2枚のガラスを並べた構成で、2枚が破られるまで、時間を稼げますが、防犯性を持っているとは言えません。2枚のガラスを合わせた、合わせガラスが一般市販のガラスの中では唯一、防犯性を持っています。
業界でガラスの生産量を見ると、防犯ガラスは右肩上がりになっています。当社の場合は、防犯ガラス(合わせガラス)は2年前、8,000m2/月でしたが現在は1万8,000m2/月で、24時間操業でつくっても全然追いつかないくらいです。ただ、忙しいのはありがたいのですがハウスメーカー向けは価格が厳しく、苦しいところです。
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「官民合同会議」の認定を受けたガラスは当社では5品目あります。例えば、そのうちのひとつ「ロブガード30」はPVB(ポリビニルブチラール:ガラス同士をくっつける接着剤)30milが入っており、身近なものでは車のフロントガラスに使われています(mil=1000分の1インチ、30mil=約0.76mm)。30mil、60mil、90milと厚くなるにつれ性能は上がります。最新の「ロブガードX」はガラスとガラスの間にポリカ(ポリカーボネート)を入れています。また、「ロブガードX2」はガラスとポリカを合わせた構成になっています。これら最新のガラスは厚さや構成により防犯を超えて、防弾にまで進化させることができます。
「官民合同会議」におけるガラスの防犯性能試験のようすを紹介します(ビデオより)。当社のポリカ入りガラスはこれまで日本になかったため一から試験を行ないました。バーナーを使う焼き破り試験は30秒炎をあて、水で熱衝撃を与えガラスを割り、5分以内に解錠されればアウト。ドライバーを使うこじ破り試験、打ち破り試験もあります。打ち破りは、指定の道具で7回打ちつけてガラスを貫通しなければ合格です。
最後に、防犯の最高レベルとはどんなものか知っていただける事例です。44マグナムをガラスに向かって撃つ試験です。5発の弾丸を完全に止めてしまうほどの最高レベルの防弾性能を持ったガラスもあります。ガラスの防犯もここまで来ているのです。 |