■旧ダイビルを継承する一大プロジェクト
1923(大正12)年10月、大阪商船(現在の商船三井)、と宇治川電気、日本電力の3社の共同出資によってダイビルの前身・大阪ビルヂングが設立されました。旧ダイビル本館建設のプロジェクトは前年の1922(大正11)年から大阪商船主導でスタート。設計監理は渡辺建築事務所で、設計監督渡辺節氏、製図主任村野藤吾氏、構造設計内藤多仲氏という布陣でした。(図1)
1925(大正14)年に竣工した旧ダイビル本館の外観はオリエント風のネオロマネスク様式。1階にはギリシャ風の彫刻を設置しています。内外の装飾はおおむね簡素ですが、要部に多種の彫刻を施して建物全体を特色づけています。また材料は採算性を重視し、国内産のものを使っています。(図2)
1階の中央部分には「鷲と少女の像」を設置、その左右に石を彫刻した灯籠が並んでいます。下部に並ぶ柱は、兵庫県播州産の黄竜山石です。エントランスロビーの床はタイル、壁は日華石、天井は石膏装飾で仕上げられています。
当街区では、1988(昭和63)年に共同開発の検討を開始、1997(平成9)年に、弊社、関西電力、関電不動産の3社で共同開発の基本協定を締結しました。2004(平成16)年関電ビルが完成、その後2期工事として2009(平成21)年に中之島ダイビルが完成。そして2013(平成25)年の2月にダイビル本館と中之島四季の丘が完成しました。
中之島3丁目共同開発の敷地は約21,000m2です。この中に旧ダイビル本館と新館、旧関電ビルディング、南側に中之島変電所と関電ビル別館があるという状態でした。まずは変電所跡地に関電ビルディングを1期工事として建設、その後旧関電ビルディングの跡地に中之島ダイビルを2期工事として建設し、3期工事としてダイビル本館と中之島四季の丘を整備しました。
ダイビル本館の基本設計は2008(平成20)年10月から14ヶ月かけて進めました。建物調査の結果をもとに建材の再利用方針を決定し、2009(平成21)年11月から地上解体工事に着手しました。並行して実施設計を14ヶ月かけて進め、2010(平成22)年から地下解体工事および新築工事に着手。2013(平成25)年2月に竣工致しました。
ダイビル本館は、地上22階地下2階、鉄骨造延床面積が約48,000m2、最高高さが108mのビルです。4階の一部と5階から上がオフィスで、3階は電気室と機械室。1、2階は商業ゾーンで、地下連絡通路を介して京阪渡辺橋駅と連結しています。(図3)
ダイビル本館と関電ビルディングとは、2階デッキで接続しています。こちらは中之島3丁目歩道橋を堂島川に向けて新たに設置し、大阪市の主導する中之島西部地区開発構想に基づく緑道ネットワークの形成に寄与する計画になっています。
ダイビル本館は、歴史的な建築物の新しい再生・利用のあり方を示した先駆的な事例ということで、大阪市の「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」に選定されました。
中之島四季の丘は関電不動産と共同で整備したもので、ダイビル本館、関電ビルディングと2階レベルでつながるデッキを含め約1,000坪(3,300m2)の規模があり、四季折々の自然を感じられる広場としております。
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