|
|
第30回
住宅エコポイントについて
*機関誌「けんざい」掲載分です。ホームページ用に再編集しておりませんのでご了承ください
掲載情報は全て著作権の対象となります。転載等を行う場合は当協会にお問い合わせください。
|
|
|
|
「住宅エコポイントについて」
国土交通省 住宅局 住宅生産課 係長
高橋 啓子 氏 |
資料はこちら(PDFデータ) |
■緊急経済対策の中で創設
今年の3月8日から始まった住宅エコポイントは、昨年の12月8日に発表された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」の中で、景気の回復と地球温暖化防止策の両立を目指し創設されたものです。これは国土交通省、経済産業省、環境省の3省合同の事業として始まり、1,000億円の予算となっています。
住宅エコポイントの対象は、エコ住宅の新築と、エコリフォームです。一定の基準を満たした住宅の新築やリフォームに対してポイントを発行し、そのポイントを商品交換などに充てられる仕組みになっています。
■ポイント発行対象に関する要件とは
○対象となる期間
新築住宅の場合は、2009(平成21)年12月8日から2010(平成22)年12月31日までに建築着工したもので、同年1月28日以降に工事が完了したものを対象としています。
また、リフォームの場合は、2010(平成22)年1月1日から同年12月31日までに工事に着手したもので、同じく1月28日以降に工事が完了したものが対象となります。この1月28日は、平成21年度第2次補正予算が成立した日です。
よくご質問があるのですが、この期間は「工事の着手・着工」です。この期間内に完了してください、入居してください、ということではありません。
○対象となる住宅
住宅エコポイントは、持ち家・借家・一戸建て・共同住宅にかかわらず、住宅であれば対象になります。逆に、事務所や老人ホームのような施設は対象外です。
また、国の補助を受けて窓や外壁などの断熱工事を行う場合も対象外となります。ただし、発行対象外である高効率給湯器や太陽光発電設備の補助とは併用できます。また、税制特例や融資の優遇も、要件を満たせば受けられるようになっています。
○トップランナー基準と省エネ基準
【新築の場合】対象となる住宅は、@省エネ法に基づく「トップランナー基準」相当の住宅、もしくはA省エネ基準(平成11年基準)を満たす木造住宅、です。トップランナー基準はもともと、省エネ法の中で戸建て住宅を対象に定められたものですが、住宅エコポイントを創設するに当たり、共同住宅等についてもトップランナー基準相当の基準を定めています。詳細は、国土交通省のホームページに掲載しています。
新築の場合、これらの基準に適合しているかを確認するため、登録住宅性能評価機関などの第三者機関の証明書を取得していただく必要があります。その内容は、前述の@Aで若干違いますので、HPなどでご覧ください。なお、@A共通の「エコポイント対象住宅証明書」は、工事着工の前でも後でも取得できます。
【リフォームの場合】対象となる工事は、@窓の断熱改修(ガラス交換、内窓設置、外窓交換など)、もしくはA外壁、屋根・天井または床の断熱改修(一定量の断熱材を使用)です。また、@Aいずれかと併せてバリアフリー改修(手すりの設置、段差解消、廊下幅などの拡張)を行う場合、ポイントの対象にできます。
@で注意すべきは、改修後の窓が省エネ基準(平成11年基準)を満たすものを対象としている点です。具体的な製品は、住宅エコポイント事務局に登録されており、事務局のホームページで対象製品をメーカー別に検索できます。工事を行なう地域に応じて、省エネ基準に適合するものを選んでいただくことになります。
一方、Aで注意すべきは、まず@と同様に、使用する断熱材が事務局に事前登録された製品であること、そして一定量の断熱材を使用すること、の2点です。
■新築とリフォームで違う発行ポイント
住宅エコポイントの発行ポイント数は、新築かリフォームか、どんなリフォーム工事かで異なります。
○新築の場合
面積や建て方などによらず、1戸あたり一律30万ポイントです。「1戸」という単位は、住宅瑕疵担保責任保険の加入戸数で考えます。この保険の加入戸数が2戸の場合は住宅エコポイントも2戸、加入戸数が1戸ならエコポイントも1戸となります。
○リフォームの場合
工事内容により発行ポイント数が違いますが、1戸あたり30万ポイントが上限なのは新築と共通です。
【窓の断熱改修の場合】新築では住宅全体が省エネ基準等に適合していることが求められますが、リフォームでは窓1枚からでも申請可能です。具体的なポイント数は、「1箇所あたりのポイント数×施工箇所数」となりますが、1箇所あたりのポイント数は、「内窓設置・外窓交換」と「ガラス交換」で異なり、また面積に応じて変わります。
【外壁、屋根・天井または床の断熱改修の場合】外壁10万ポイント、屋根・天井3万ポイント、床5万ポイントです。また、前述の通り断熱材の最低使用量が決まっております。詳しくはエコポイント関連のHPなどをご覧ください。
【バリアフリー改修併用の場合】エコリフォームと併せて行うバリアフリー改修のポイントは、5万ポイントまでです。こちらも改修内容(手すりの設置、段差解消、廊下幅などの拡張)によってポイントが異なり、たとえば、手すりの設置は箇所数にかかわらず一律5,000ポイントとなります。
なお、介護保険を利用してバリアフリー改修を行なう場合、原則として同じ工事対象に住宅エコポイントを併用することはできません。また、浴室の2本の手すりのうち、1本は介護保険、1本は住宅エコポイント、といった使い方もできません。ただし、浴室と便所に手すりをつけた際、浴室の手すりのみ介護保険で対応した場合、浴室分の住宅エコポイントは申請できませんが、便所分の5,000ポイントは申請できます。
新築の場合は1戸あたり30万ポイントと計算しやすいのですが、リフォームは工事ごとに違うので、申請の際確認が必要です。住宅エコポイント事務局のホームページに、「発行ポイント数チェッカー」というシステムがありますのでぜひご活用ください*。
*http://jutaku.eco-points.jp/constructor/point/
■エコポイントの申請には各種証明書類が必要
住宅エコポイントの申請は工事完了後、新築住宅の購入者、新築・リフォーム工事の発注者(通常は住宅所有者)が、住宅エコポイント事務局に対して行います。全国の申請窓口に申請書類を持参もしくは事務局へ郵送する方法があります。申請窓口は、住宅瑕疵担保責任保険法人の取次店が請け負っており、現在全国で約3,900箇所あります。
ポイント申請に必要な書類は、大きく分けて@必要な省エネ性能を満たしていることを証明する書類(性能証明書等)、A工事が行なわれたことを証明する書類(工事証明書等)、B申請者の本人確認書類の3つがあります。申請書は新築用・リフォーム用がありますが、ともにホームページからダウンロードできますし、申請窓口にもあります。
なお、リフォームの性能証明書等については、工事の種類によって必要な書類が変わりますのでご注意ください。窓の断熱改修の場合は、窓の性能証明書(メーカー発行のもの)が、外壁、屋根・天井または床の断熱改修の場合は、納品書または施工証明書が必要です。バリアフリー改修では性能証明書などは不要です。
また、リフォームでは工事の写真も必要ですが、特に断熱改修の際は、「工事中」の写真が必要となるため撮り忘れないように注意してください。窓やバリアフリーの改修は、工事後の写真でかまいません。
新築・リフォームとも、工事証明書や性能証明書の発行は事業者にご協力いただくことになると思いますが、それらを住宅所有者に渡せば、所有者が直接申請できます。また、事業者による代理申請も可能です。
■ポイントの申請期限と交換期限
ポイントの申請期限は、新築戸建てが2011(平成23)年6月31日まで、新築共同住宅は同年12月31日(階数が10以下)、または2012(平成24)年12月31日(階数が11以上)までです。一方、リフォームは2011(平成23)年3月31日までとなっています。
交換可能な商品などについては、住宅エコポイント事務局ホームページもしくは申請窓口に置いてある「住宅エコポイントカタログ」に掲載されています。省エネ・環境配慮の優れた商品、商品券、地域の特産品、環境寄付など、さまざまな商品と交換できますが、実際の申請状況を見ていると、商品券に交換されている方が多いようです。なお、ポイントの交換期限は2013(平成25)年3月31日までとなります。
■追加工事の費用に充てられる「即時交換」
交換商品の中に、「追加的に実施する工事の費用に充当(即時交換)」があります。たとえば、窓を設置したり断熱材を入れたりなど、ポイントが発行される工事と併せて、「せっかくのリフォームだからキッチンやトイレもやろう」といった追加的な工事の費用として、ポイントを利用できるということです。ただし、あくまでも“エコポイント対象工事と同じ施工者が追加的に実施する工事”の費用に充当するもので、ポイント対象となる工事そのものには充当できません。
ご注意いただきたいのが、ポイント申請のタイミングです。即時交換の申請は、エコリフォームおよび追加工事がすべて終わってから行なってください。エコリフォーム分について、先にポイント発行の手続きを行なうと、後から即時交換への充当はできません。
また、申請後は事務局の審査を経て、ポイント相当分の現金が直接工事施工者に振り込まれることになりますが、それまで一定期間を要することを踏まえてご活用いただければと思います。
■書類記入には注意を!—その他さまざまな注意点
今後、住宅エコポイントをご利用になる方々のために、申請の際の細かい注意点を述べておきます。
まず、「住宅エコポイント発行・交換申請書」の中の「同意事項」です。申請者の署名・捺印欄などがありますが、必ず日付を記入ください。ここは重要な箇所なので、日付が確認できないと不備となります。
また、「同意事項」の中に、「申請対象住宅の現地調査」とありますが、事務局ではポイントが適正に発行されているかなどの確認を行うため、無作為に現地調査を行なっています。もし、現地調査の連絡を受けた場合は、ご協力をお願いします。
申請書類に必要な「申請者の本人確認書類」では、申請者分とともに必要な代理人の本人確認書類が不備だったり、領収書の収入印紙の貼付漏れなどのケースが見受けられます。また、即時交換の申請時にご記入いただく事業者の振込口座についても、スペースや濁音、株式会社などの略号の使い方などにご注意ください。きちんとご記入いただかないとご入金できません。
なお、審査の過程で不備があれば、事務局から申請者に連絡が行く仕組みとなっています。すべての審査が無事終わると、申請者にポイントの発行通知というハガキが届きます。商品交換の申請をしている場合はその後、商品提供事業者から商品が送られてきます。一方、即時交換の場合は、申請者と振込先である工事施工者にハガキが届きます。工事施工者に送られるハガキには、即時交換分の振込日が記載されています。
■住宅エコポイントの実施状況
今年3月8日から始まったこの制度の実施状況ですが、6月末時点で、新築・リフォームあわせて8万1,834戸の申請がありました。そのうち、ポイント発行の手続きが終わっているものは6万120戸、約58億ポイント分となっています。せっかくの機会ですから、新築・リフォームをお考えならば、ぜひこの住宅エコポイントを活用してみてください。
なお、申請書類などの資料には、住宅エコポイント事務局の連絡先を載せており、電話相談も受けております。またホームページでは、申請書類などのダウンロードができるようになっており、ポイント交換の対象商品も検索できます。不明な点については、お気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせは・・・・】
●住宅エコポイント事務局
TEL:0570-064-717(一般電話・携帯電話)
※受付時間:9:00〜17:00(土・日・祝日も受付)
03-5911-7803(IP電話・ポイント申請前)
03-5911-7804(IP電話・ポイント申請後)
URL:http://jutaku.eco-points.jp
※申請書類などのダウンロードができます
●財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
TEL:03-3261-9358
※受付時間:10:00〜12:00 13:00〜17:00
( 土・日・祝日も受付)
●国土交通省ホームページ
URL:http://www.mlit.go.jp/
|
|
|
「等級4(次世代省エネ基準)対応充填断熱工法について」
旭ファイバーグラス梶@グラスウールグループ
主席 中野 光三 氏 |
資料はこちら(PDFデータ) |
■断熱工法の基本は、気流止めと防湿
昔は「グラスウール断熱材は湿気を吸って家を腐らす」という誤解がよくありました。今は防露上の措置としてポリエチレンフィルムがついたグラスウールが主流なので、きちんと施工すれば内部結露はなくなってきました。
しかし、断熱効果の観点からは、 “ただ壁や天井の中に入れればいい”のではなく、その入れ方が重要です。今回は、「次世代省エネ基準(品確法では温熱等級4)」に対応する当社のグラスウールを使った断熱工法について、部位ごとにポイントを説明いたします。
断熱工法の基本は、1)床下や小屋裏から外壁・間仕切壁に外気が入らないよう「気流止め」をする(通常、乾燥木材を使用)、2)グラスウールですき間なく覆う、3)室内側に防湿層を連続させる、の3つです。この手順を守れば、断熱は難しくありません。
断熱構造にする部分は、いわゆる「断熱ライン」と呼ばれるもので、部屋の内側と外側を区別しています。「次世代省エネ基準」の場合は開口部も問題になり、窓サッシなどにも「ペアガラスにしなければならない」や、あるいはカーテンやブラインドなど夏場の日射遮蔽といったようにかなり厳しい基準があります。
■断熱材のフィルムをしっかり連続させる
当社のグラスウール断熱材は、ポリエチレンフィルムがついたタイプが主流ですが、そのフィルムをどのように連続させるかがポイントです。つまり、いくらグラスウールをすき間なく張り巡らせても、フィルムにすき間があっては意味がないのです。
まず天井の施工ですが、野縁の上に断熱材を敷き詰め、別張りの防湿シートを張ります。壁は、内部の柱や間柱の間に断熱材を充填し、フィルムは柱の見附面(表面)にタッカーで留め付け、ボードなどで挟みつけることになっています。
一方、床については今回、防湿層を省くことができるようになりました(後述)。これは、下地が湿気を通しにくい合板であり、かつ床下には換気用の空間があるので、湿気が抜けやすい構造になっているためです。
■基準を普及させるための緩和措置いろいろ
断熱の目安を定めた省エネ基準は1980(昭和55)年にできました(「旧基準」)。1992(平成4)年には「新基準」
が、1999(平成11)年には「次世代省エネ基準」ができ、昨年これが一部改正されました。今年3月から始まった住宅エコポイントも、新築木造住宅は「次世代省エネ基準」に適合するものがポイント対象になります。
現在、在来木造住宅における「次世代省エネ基準」の普及率はせいぜい2割程度で、なかなか普及しにくいようです。そこで昨年の改正では、「この部分は省略可」「ここはもう少し薄くてもOK」など、基準の緩和措置がとられ、何とかもっと普及させようという動きが見られます。
住宅エコポイントは、断熱業界にとっては追い風といえます。実際、「次世代省エネ基準」に適合した商品も増えてきています。緩和措置によって、住宅業界全般でも「次世代省エネ基準」の断熱工法を実施しやすくなると思われます。以下、昨年の改正に基づく緩和措置の要件と対応についてご紹介します。
■土間床、一般の床における緩和措置
床部分については、いくつかの緩和措置が導入されています。たとえば、玄関・勝手口の土間床の施工については、4u程度の場合は断熱措置が省略できるようになりました。また、ユニットバス型浴室の場合は、下部を断熱構造にし、壁・床との取り合い部を気密処理すれば、土間床外周部の断熱施工を省略できます。
さらに、外気に接しない一般の床の施工では、防湿層が省略できます。ただし、床下地材については、下地のある部分でつなぐか、目地を気密テープでふさがなければなりません。床の施工には剛床と根太床があり、剛床の場合は床下地材で床下からの気流が止められますが、根太床の場合は乾燥木材などによる気流止めが必要です。
一方、1階駐車場の上の部屋のような外気に接する床では、従来は一般の床の約1.5倍厚程度の断熱材が必要でした。しかし、緩和措置により、延床面積の5%以内なら、一般の床と同様の断熱材厚でOKとなりました。
■壁には防湿フィルムの厚い新断熱材
壁(大壁)の施工では、一定条件を満たす場合に防湿層が省略できることになりました。当社の新しい断熱材「アクリアネクスト」は、通常使われる断熱材より防湿フィルムが厚いので、そのまま入れれば「次世代省エネ基準」に適合します。フィルムの下部を床下地材に留め付け、床仕上げ材で押さえて床の気密をとるといった具合に、ボードなどで防湿フィルムをしっかり押さえ付けることがポイントです。
その他、開口部回り、筋交い、真壁にもそれぞれのテクニックがありますが、やはり防湿フィルムの留め付けが重要になります。
なお、天井と屋根については、大きな緩和措置はありません。天井には通常、別張り防湿シートを張る必要があります(地域により特例あり)。組んだ野縁の上に断熱材を引き込みますが、別途野縁の下(室内側)に防湿シートを張り、ボードで押さえ付けます。また、屋根の場合は垂木間に2層の断熱材を入れ、必ず通気層を作ります。通気層を設けないと、結露の危険性が高まりますのでご注意ください。
■設備による省エネも断熱あってこそ
「新基準」と「次世代省エネ基準」の断熱施工では、後者の方が費用はかかりますが、長い目で見たときのコストは優れていると思います。国が将来、「次世代省エネ基準」の断熱を義務化する可能性もあります。
一方で、経産省による省エネ法「トップランナー基準」があり、エコキュートやエコジョーズのような住宅全体の省エネ設備を含めて考えると、断熱材は薄くても「トップランナー基準」を達成していれば問題ないのではと考えがちです。しかしここで強調しておきたいのは、“省エネ設備があれば断熱は少な目でいい”のではなく、長い目で見ると、躯体の断熱があってこそ、設備の省エネも生きてくるものだと思っています。
|
|
|
「窓のエコリフォーム」
三協立山アルミ梶@住宅建材本部リフォーム部
部長 道正 卓哉 氏 |
資料はこちら(PDFデータ) |
■さまざまな方法がある窓のエコリフォーム
現在、実施されている住宅エコポイント制度は、窓のエコリフォームも対象としています。これは、窓から出入りする熱が圧倒的に大きいためです。モデル住宅における実験結果では、冬の熱損失の50%近く、夏の熱侵入の70%以上が、窓(開口部)によるものでした。それだけに、エコリフォームによる断熱改修には、大きな効果が期待できます。
では、窓のエコリフォームには、どんな方法があるのでしょうか。以下、6つの方法をご紹介します。
1番目として、内窓の取り付けがあります。今ついている窓の内側に樹脂の内窓をつけるだけ、というもので、工期は大体1日です。この商品は、家電量販店や、これまでサッシを取り扱っていなかった業界でも、販売されるようになっており、1物件で大体3〜4窓が出荷されています。窓ごとの熱エネルギーの削減率は約55%と、大変高効率です。
2番目はサッシの交換です。窓ごとサッシをそっくり交換するため、内外装工事が必要となり、工期やコストがかかります。熱エネルギー削減率は約29%で、樹脂内窓と比較するとかなり低い数字です。
3番目のカバー工法は、今ついているサッシの枠を残し、ペアガラス入りのサッシをかぶせます。内外装工事は不要ですが、熱エネルギー削減率はサッシ交換と同じ約29%で、やはり内窓取り付けには及びません。
4番目の障子交換は、今ついているサッシの枠はそのままで、障子(サッシ本体)だけをペアガラス用に入れ替えるものです。これは「IV・V」という区分の地域限定で、寒冷地には該当しません。エネルギー削減率は約29%です。
5番目の後付けカバーサッシは、内側にサッシを取り付けられなかったり、何らかの条件のため外側にサッシをつけて断熱化を図りたい場合に用います。既存サッシの外側にペアガラス入りのサッシを重ねるもので、工期、コストがある程度かかります。熱エネルギー削減率は、内窓以外の工法と同じ、約29%です。
6番目はガラス交換。既存サッシはそのまま、ガラスだけを交換する方法で、既存のシングルのガラスにアタッチメント付複層ガラスをつけて複層化します。熱エネルギー削減率は約29%です。
■高い費用対効果と多彩なメリットを持つ樹脂内窓
窓のエコリフォームの効果と費用を比較すると、内窓取り付けが最もメリットが高いといえます。そのためもあって、樹脂内窓は現在、住宅エコポイントの主力商品となっています。
また、費用対効果以外にも、断熱、防音、健康、防犯、施工上の多彩なメリットがあります。当社の樹脂内窓「プラメイクE」の場合、次のような効果が期待できます。
(1)断熱効果:熱伝導率がアルミの約1/1,000しかない樹脂は、断熱性に優れています。また外窓(既設の窓)との間に中間空気層ができるので、熱の出入りが抑えられ、さらに断熱効果が高まります。家電量販店では、よくエアコンとセットで樹脂内窓が販売されています。電気を使うことなく熱気を抑えられるばかりか、エアコン自体の効果も高められるからです。
樹脂内窓取り付けによって年間に削減できるCO2は約352kgですが、これはスギ約25本分のCO2吸収量に相当し、地球環境にも貢献する商品といえます。
また、冷暖房費を負担に感じている方にもおすすめです。大阪府下を例にとれば、樹脂内容の併用により、年間で冷暖房費1万円以上の大幅節約も可能です。
(2)防音効果:樹脂内窓を取り付けることで二重サッ
シ効果が生まれ、外からの騒音侵入と室内からの音漏れを抑えることができます。例えば、80dbの騒音(電車の中に相当する音)なら、40dbにまで軽減できます。日常的な騒音の悩みの解決をもちろん、ピアノの練習やオーディオルームの設置など、より快適なライフスタイルの創造にもつながるでしょう。
(3)健康配慮:樹脂内窓なら、中間空気層によって外気温の影響を受けにくくなり、窓の結露を軽減できるため、家族と住宅の健康を守ることができます。
(4)防犯配慮:二重サッシ化されているため、外側と内側で2重のクレセントが付くことになります。このため侵入に時間がかかり、防犯効果が高まります。
(5)かんたん施工:今ついている窓の内側に樹脂の枠と障子(サッシ本体)を取り付けるのですが、現場採寸によって大抵の窓に対応でき(オーダーメイド)、大がかりな工事をすることなく、1日ですべて施工できます(窓1カ所あたり約1時間)。
■内窓取り付けでもらえるエコポイントは?
樹脂内窓は1窓で、大・1万8,000ポイント、中・1万2,000ポイント、小・7,000ポイントのエコポイントがもらえます。1物件では平均3〜4窓の内窓がつけられますが、一例としてFIX窓(小)、引違い腰窓(中)、引違いテラス窓(大)の大中小3窓を取り付けると、参考工事価格は計14万1,900円。一方、支給ポイントは3万7,000ポイントとなるので、還元率は26.1%となり、設置コストの1/4は還元される計算になります。
今ある窓にもう一つつけるだけで、冷暖房コストの削減や防音効果アップ、CO2削減、エコポイントももらえるということですから、窓のエコリフォームは大変おすすめです。
住宅エコポイントが起爆剤となり、今まで全国的に見るとあまり採用されていなかった樹脂内窓が、費用対効果の面で大きなメリットのある商品だということが、ここにきて注目され始めました。弊社でもさらなるエコ商品の開発を進めていきたいと考えています。
なお、“かんたん”とはいえ、樹脂内窓の取り付けには施工が伴います。現場の6〜7割は通常の取り付けができますが、3〜4割はオプション部材などを使用した難易度の高い場合もあり、技術を持った施工業者が行なわなければなりません。当社では施工やマナーの研修も含め、樹脂内窓を利用した住宅のエコリフォームを、お施主さまが「うちでもやってみようかな」と思えるような商品にしていこうと取り組んでいます。今日、ご出席の皆さんのほうでもぜひ、樹脂内窓をお施主さまに勧めていただきたいと思います。
|
|
|
|
|
[建材情報交流会ニュース一覧へ] |