目玉は複数の建物をつなぐ大きな「ヘルスエイド
エアトラック」
こうして完成した施設には、コンセプトを具現化する楽しい仕掛けがたくさんあります。まず屋上に設置された1周約300mの「ヘルスエイド
エアトラック(以下、「エアトラック」という)」。最も目を引く、同施設のシンボルともいえる部分です。誰でも無料で利用でき、快適・安全にランニングやウォーキングを楽しめます。「エア」というだけあって開放感があり、大阪城への眺望も素晴らしく、「エアトラックのお陰で走るのが日課になった」という利用者も。
エアトラックは、同社と設計・施工者である株式会社竹中工務店が共同で開発し、特許出願しました。構造的には、複数の建物の屋上をエアトラックという構造体がつないでおり、エアトラックと各建物との接合部にブレース架構や免震装置を設けて振動をコントロールしています。「エアトラックが単一建物の大きさに制限を受けず、建物の改修中も普段と変わらず利用できるメリットもあります」とお二人は説明します。
本格的で、なおかつ安全性の高いものにするため、エアトラックの立案段階から北京オリンピック銅メダリストの朝原宣治さんが監修を務めました。モックアップをつくり、人がどんな速度で走るとどれくらい振動するのか、カーブや手すりの高さはどの程度が最適か、などを一つひとつ検証し、これまでの商業施設にはない全く新しいユニークアイテムが実現したといいます。
正面入口から見た外観は、エアトラックのカーブと列柱、風にはためくフラッグ、グリーンウォールなどが相まってまるで球場のようです。もちろん球場跡であるというのがそのゆえん。名前に「BASE」(ベースボールのベース)がついていたり、イベント会場などに利用される「BASEパーク」という広場がグラウンドを模していたりと、かつて愛された球場へのオマージュが随所に散りばめられています。
エアトラック以外にも、スポーツジムやフットサルコート、ボルダリングウォールが備えられ、体づくりをサポートしています。一般社団法人アスリートネットワークと共同でさまざまなスポーツ企画を考え、サービスとして提供しているのも特徴的です。
市民参加型のコミュニティスペースで交流促進
コミュニティスペースとしての活用にも力を入れています。カフェやキッズスペース、ラジオ放送(FM
COCOLO)のサテライトブースなどを備えた「まちライブラリー」は、利用者(会員)がおすすめの本を、感想を書いたカードを付けて持ち寄り、みんなで蔵書を増やしていくユニークな図書館。借りた人は、その感想をまたカードに書いて返却します。本を通して豊かな交流を育むのが目的です。
「会員さんが中心となって読書会やワークショップも精力的に開催されており、この半年でコミュニティスペースとしてかなり育ってきたのではないでしょうか。会員も半年を待たずに1,000人を突破しました。これは予想外でした。ワークショップを見ていると、“何かを発信したい”人達がかなりたくさんいることが分かります。そういう方々が集い、いろんなことを発信していってほしいですね」と大柴さん。
お二人共に、「開業半年を経て、かなり認知度も上がってきました。これまではハード面で注目されがちでしたが、『まちライブラリー』のようなソフト面ももっと周知できればと思います」と期待を語りました。
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