阪神間の新都心に現れた巨大ショッピングセンター
阪神間の中心に位置し、阪急神戸線・今津線が交差する西宮北口駅に延床面積247,000uの広大なショッピングセンターが誕生しました。ショッピングセンターという響きに心を弾ませながら取材に赴きます。
西宮北口駅とはムービングウォークが設置された歩行者デッキで直結され、本当に便利です。公共交通機関の積極的利用を促進する理由には、地球環境保護も考慮されているんです。
西日本最大のスケール感にしばしあっけに取られてしまいました。迷子必至です。というわけで阪急電鉄株式会社の奥土恵さん(不動産事業本部不動産開発部調査役)にご案内いただきました。
奥土さんは、計画段階からこのプロジェクトに関わったメンバーのひとり。住民に愛され、阪神間の新都心ともいえる西宮の地にふさわしい建築計画や店舗計画について幾度となく検討を重ね、形にしていったそうです。
「『阪神間の豊かな自然環境との調和』が施設コンセプトです。都市型商業施設として阪急百貨店、大型スーパー、シネマコンプレックス、専門店モールを揃え、緑をたたえた屋上のスカイガーデンやゆったりとした館内で心地よい空間と時間を楽しんいただけるでしょう。“ガーデンズ”という名前も、家族皆さんで自分の庭のようにゆったりくつろいでほしいという想いからつけたものです」と奥土さんは同施設の基本となる考え方を説明します。
ショッピングモールは東西南北4ゾーンで構成され、北モールは山側を意識して木目やアースカラーを用い、南モールは海側を意識して白っぽい色使いとアールと花のモチーフを用いたやさしいデザインといった具合に各ゾーンで趣向を変えています。確かに周囲450mのサーキットモールは進むごとに印象が変わるため、自分の現在地も分かりやすくなっています。視認性にも優れているんですね。
「品揃えは都心の施設に負けないぐらい、でも都会では実現できないゆとりの快適空間です」と奥土さんが胸を張るだけあって、大きな空間を惜しげもなく使った巨大な吹き抜けがいくつも点在し、景観にアクセントを添えると同時に爽やかな開放感を醸します。
安心・安全も万全で心置きなく楽しめる
同施設は、バリアフリーの観点からも評価が高いそうです。トイレは全17ブースのうち16が多目的トイレ、オストメイト(人工肛門・人工ぼうこう保有者)対応も8ブースを備えます。見たこともないような広いトイレでびっくりです。西宮北口からのアクセスも含めて、段差などハード面でのバリアフリーはほぼ完璧にクリアされているのではないでしょうか。
防災面では、ブロックごとに防火区画が設定されています。通常の消防法とは異なる、国の認定が必要な避難安全検証法という高度な設計手法が取られているとのことで、安心安全においても太鼓判を押させていただきます。
いつまでも心に残る施設であってほしい
シネマコンプレックス導入も、特筆すべき点です。「西宮市には阪神・淡路大震災以降14年間、1軒も映画館がなかったのです。それだけに映画館は長年地元の皆さんから待ち望まれていました」。食事、買い物、エンターテインメント、くつろぎ…全部ひっくるめて楽しめる広大な空間はまるでテーマパークのようです。
「プロジェクト関係者からも『西宮スタジアムにかつて親と遊びに来ていた』『アメフトの試合をよく応援しにきていた』という思い出話がよく出てきました。西宮ガーデンズもそんな風に人々の思い出に残るような施設になってほしいと願っています」と奥土さんは同施設に込めた思い入れを語ってくれました。
4階中央屋外にある約9,000uのスカイガーデンは圧巻でした。「当施設のシンボル。緑化や噴水は温暖化対策も兼ねています。六甲山の山並みもきれいに見える最高のスポットなんですよ。夜はイルミネーションに彩られます。また、30分ごとにオルゴール演奏が流れ、噴水もそれに合わせて踊るという仕掛けがあります」。
ちょうどその時オルゴールが鳴り響き、タイミングのよさにうれしくなってしまいました。寒風吹きすさぶ中、水しぶきをものともせず噴水の演出に大喜びする子どもたち。私も奥土さんと同様、あの子どもたちがいくつになっても、この西宮ガーデンズで家族と過ごした楽しいひとときを胸に刻んでいてくれたらなと思いました。
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