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マイケル・リンの壁画を背に
くつろぐ来館者 |
行政への働きかけと斬新なアイデアが
リピーターを呼んだ
現在は金沢のシンボルとして認知されるまでに到ったが、その道のりは決して平坦ではなかったという。約200億円もかけて兼六園の近くに革新的なデザインの現代美術館が建つというだけで市民から反発されたのだ。しかし蓑氏の気持ちが揺らぐことはなかった。「まず金沢市に働きかけ5000万円の予算を取り付け、4か月間かけて金沢市の4万1千人の小中学生全員をバス送迎付きで無料招待しました。この時、もう一度無料で入館できる券(「もう一回券」)を渡しました。すると、うちの楽しさを理解してくれた子どもたちが親を連れて再び訪れてくれたんです。口コミの来館者も多いんですよ」と蓑氏は目を細める。今まで繁華街を素道りして温泉地に向かっていた観光客も同館に足を止めるようになり、結果328億円もの経済波及効果を生んだという。
美術館の持つ全てのイメージを良い意味で払い去ることに成功した、自由で心地良い空間。「もう一度訪れたい」そう心から思えた。 (記:蚊崎あすか)
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