今再び、競争力をつけた企業が勝ち残る時代になり、日本の企業、とりわけ関西より西の企業が元気を盛り返しつつあります。各社の戦略について、いくつか例をとりあげてみます。
まず、新しいビジネスのしくみを作った会社です。四国の穴吹工務店は、アフターサービスの工務店として勢いを上げています。今まで建築業界では、建物を施主に引き渡したらもう近づかないのが原則でした。クレームに対応していると、コストがかかって利益が下がるという考えからです。ところが穴吹はアフターサービスを徹底しました。
ほかにこのしくみで利益をあげているのが愛媛のボイラー屋、三浦工業です。ここの利益の3分の1は売ったボイラーの保守点検によるものです。ボイラーが故障したらそのお客さんは仕事にならず、非常に困ります。絶対壊れないボイラーなどないのですから、プリベンティブ・メンテナンスを有料で行なって予定外の故障を減らす、というしくみで収益を上げました。
会社がつぶれることも真面目に考えたほうがよろしい。会社がつぶれると、借金が減る、従業員の給料を下げられる、というコスト面でのメリットが生じます。神戸市内にあったカワムラサイクルは、一度つぶれて強くなった会社です。自転車業界は非常に厳しく、中国製に完敗している。成功のもとは車いすを作りはじめたことでした。それも従来とは全く違ったやり方でした。車いすは一人ひとりの身体に合ったものがすぐに必要です。カワムラサイクルはたった1週間で客のニーズに合う車いすを作ることによって復活をとげたのです。
鳥取三洋電機は作り方を変える戦略をとりました。従来、電気製品はライン生産でしたが、注文を受けてから一つずつ作るセル生産(現場では屋台生産という)に転換し、即納体制をとりました。受注したものだけ作って無駄を無くすことによって競争力を維持した例です。
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