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  • 2025年3月10日
    【会員NOW】森村金属株式会社・インタビュー「大阪メトロ夢洲駅の『折り紙天井』を可能にしたチャレンジ精神と技術」
    夢洲駅ホームに降り立つと「折り紙天井」が迎えてくれる
    夢洲駅ホームに降り立つと「折り紙天井」が迎えてくれる
    2025年1 月 19 日に大阪・関西万博の玄関口となる大阪メトロ「夢洲駅」が開業しました。ホームからコンコース改札まで、山・谷に折り曲げられ、照明の光をキラキラ反射させた、まるで折紙のようなデザインの天井が続きます。駅全体を近未来の空間に演出し、大阪・関西万博へのワクワク感が一層高まります。
    このデザイン性の高い天井は「折り紙天井」と呼ばれており、当協会の会員で金属建材メーカーの森村金属株式会社が製作を手がけました。
    同社の森村泰明社長に「折り紙天井」を可能にした技術や特徴、苦労話などについてお聞きしました。
    「けんざい」編集部

    「おもてなしの心」を可能にしたチャレンジ精神

     ―――折り紙天井とは
    「大阪・関西万博の玄関口として、世界から訪れる人々を迎える「おもてなしの心」を伝統的な意匠と技術で表現したいと、折り紙天井製作のお話しをいただきました。夢洲駅のデザインコンセプトは移動の魅力を発信する『移世界劇場』。山折り、谷折りされた鏡面仕上げの折り紙天井が駅の空間や照明、乗降する人々の動きを柔らかく映しだし、大阪・関西万博へといざないます。折り紙天井が『移世界劇場』の主要な要素となっています」

     ―――折り紙天井製作の話を聞いたときは
    「70 年以上金属加工・折り曲げ加工に携わり、全国の JR、私鉄、メトロなどに当社製品を提供してきましたが、これまで経験のない非常に難しい加工だと感じました。当初社員たちも製作が難しいのではないかと不安視していました。しかし私は新しいことに挑戦することが好きなんです。挑戦から新しいアイデアや技術が生まれると考えています。誰も出来ないからこそ、挑戦しようというチャレンジ精神でお引き受けしました。無事に完成、開業したことに正直なところホッとしています」

    折り紙天井と100年続く駅を可能にした技術

     ―――製作するための技術や苦労された点は
    「折り紙天井は 1 ミリ厚のアルミニウムパネルを折り紙のように山折り・谷折りの3Dに折り曲げたものです。特に山折りする際のトガリ(尖った部分)を綺麗にプレス成型することが非常に難しかったが、金型を新しく設計するなどし、最後には納得するものができました。」
    「折り紙天井の取り付けは、ボルトやビスなどを使用せず、はめ込み式にする当社の特許技術『UBシステムアルミパネル』の技術を使用しています。ただし3D 加工された複雑なパネルの天井への設置は始めての取り組み、約 1 年間をかけて当社敷地内に天井のモックアップを作り、試験を繰り返しました。」
    「改札階コンコースの折り紙天井の両端に、折り紙天井がどのように取り付けているかを見ることができる部分がありますので、ぜひ見ていただきたい」

     ―――設計コンセプトで夢洲駅は 100 年続く駅を目指しています
    「そのために折り紙天井にはデザイン性のほかに耐久性、メンテナンス性、リサイクル性も求められました。特許技術のUBシステムアルミパネルは天井パネルの取り外しが容易でメンテナンス性に優れているのが特徴です。アルミは耐久性も高く、リサイクルも可能です。今回製作した「折り紙天井」は 100 年続く駅をしっかり支えられるものだと確信しています。」

    仲間(日本建築材料協会の会員)とともに完成させる

     ―――折り紙天井の取り付け施工は
    「今までにない天井の取り付け施工は非常に難しいものがあります。私が所属している日本建築材料協会の会員で、天井施工の数多くの実績を有する株式会社オクジューさんが取り付け施工を担当しました。同じ日本建築材料協会の仲間と力を合わせ完成できたことを誇りに思っています。」

    大阪・関西万博から世界へ

     ―――大阪・関西万博にも出展する
    「4 月 15 日から 21 日まで、未来の暮らしや技術を体験できる「フューチャーライフエクスペリエンス」に参加し、大阪公立大学と共同開発したミミズ型ロボットを披露します。かねがね駅の天井裏などの狭い場所を点検できる方法はないかと考えていましたが、大阪市立大学(現大阪公立大学)に相談に伺ったことから、同大学との共同研究が始まりました」
    「ミミズ型ロボットはミミズの蠕動運動(ぜんどううんどう)を取り入れた画期的なロボットで、狭い場所でも障害物を乗り越え、映像で知らせてくれるのが特徴です。展示当日はミミズ型ロボットの操作をしていただけるイベントを実施予定です。大人だけでなく子供たちや海外の方にもロボット操作を楽しんでいただけると嬉しいです。」

     ―――今年は折り紙天井や大阪・関西万博出展などエポックメイキングな年となる
    「大阪・関西万博に来られる多くの方々に当社製作の折り紙天井やミミズ型ロボットを見ていただきたい。海外の方などの感想や話も聞き、今後は世界に当社の技術を広げていきたいと思っています。ミミズ型ロボットは 1 年以内の実用化を視野に入れおり、災害時での使用など応用分野を拡大していければと考えています」

    森村金属株式会社
    所在地:大阪府東大阪市角田1丁目8番1号 代表者:代表取締役社長 森村 泰明 拠 点:東京支店・名古屋支店・関東工場 創 業:昭和 25 年 4 月 設 立:昭和 30 年 4 月 資本金:3,360 万円 事業種目:建築金属建材の製造販売、家庭用金物用品の製造販売 資本金 ホームページ:https://www.morison.co.jp/
TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -