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  • 2024年8月27日
      優良製品・技術表彰2024
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    日本建築材料協会では、優れた建築材料や住宅設備の製品・技術を広く社会に発信し、その品質並びに施工技術の向上と建築業界全体の発展に寄与することを目的に「優良製品・技術表彰」を実施しています。
    2024年度は9件の優良製品・技術が選ばれました。ここでは受賞された製品・技術をご紹介いたします。
     

    経済産業省 製造産業局長賞
    「オフセットサイディング」 ニチハ株式会社

     「国産木材の利用を促進して、森を守りたい」そんな思いから生まれた外壁材が「オフセットサイディング」です。
     オフセットサイディングは、間伐材や国産木材から柱などを切り出す際に生じた端材を木材チップに加工し、セメントと混ぜ合わせた外壁材です。木材の有効利用に加え、外壁として張るだけで木材に含まれる炭素を長期間固定し、地球温暖化防止に貢献することができます。
     誕生から40年以上の実績があり、2022年度は約21万tのCO2の固定化を実現。約138万本のヒノキが30年間で吸収した量に相当します。
     オフセットサイディングは、高い環境性能に加え、耐火性、耐震性など外壁材に求められる高い強靱さも特長です。700種類を超える幅広いデザインバリエーションにより、数多くの建築物の外壁材として広く普及しています。

      (ニチハ株式会社URL) https://www.nichiha.co.jp/

    【講 評】

     間伐材や国産木材から柱などを切り出す際に生じた端材を木材チップに加工し、セメントと混ぜ合わせた外壁材である。使用した木材が取り込んだ炭素を長期間閉じ込めることで、炭素固定効果に加え、森林育成や土砂災害の抑制にも寄与する環境貢献が可能な外壁材である。500種類以上のデザインバリエーションがあり、建築物の外観に合わせて多様な選択が可能である。マンション等の高さ45mまでの中高層建築物に施工できる工法を確立しており、耐震性と耐久性を備えている。セルフクリーニング機能もあり、メンテナンスコストの削減も可能である。施工が簡易である点もこの外壁材の大きな特徴であり、パネル形状のため、短時間で効率的に施工が行える。さらに、施工時に発生した端材を製造工場に持ち帰り、再び製品の原料として利用する端材回収リサイクルシステムも整備されている。これにより、無駄を最小限に抑え、持続可能な製品作りを実現している。
     この製品は、時代の要請に応じた脱炭素製品として、CO2固定量証明書の発行や環境省の推進支援事業にも採択されており、環境性能とデザイン性を両立した外壁材として高く評価した。


    国土交通省 住宅局長賞 
    「ヨドルーフ157セキュア」 株式会社淀川製鋼所

     デザイン製に優れているかつ、支持材であるタイトフレームの固定金具では独自のリボン型形状を採用しているため梁間隔が広い大型物件にも十分対応できる性能となりました。
     屋根材同士の接続は実績のある丸ハゼ形状にし、屋根材をしっかり篏合させる事で従来の折板よりも強度が大幅にアップされています。
     他にも二重葺の対応でも耐火認定の取得や音鳴り低減仕様のラインナップもあるため、幅広い物件で活躍できる商品となります。
     安全なという意味の「secure」から名付けられましたので、名称のように安心できる商品をお客様にお届けできるように販売して参ります。

      (株式会社淀川製鋼所URL) https://www.yodoko.co.jp/

    【講 評】

     本製品は、屋根材の谷間に座屈を抑制するリブを設ける工夫により、屋根材本体の強度向上を実現している。屋根材本体の高強度化は、タイトフレームの梁ピッチを大きくすることが可能となることから鉄骨使用量の削減につながるとともに、将来的に需要が見込める都心部の再開発や物流施設等の大スパン物件への適用が期待できる。なお、屋根材の固定金具に関しても、従来の吊子型形状に比べて2.5倍の接合部強度を有するリボン型形状かつ幅広の固定金具を採用し、大型台風等に対応する屋根の耐風性能向上も実現している。さらに、施工においても、半嵌合折板のため迅速な施工が可能となり、梁ピッチを大きくすることと合わせて、省施工・省人化を実現している。
     また、環境性能においても、二重折板構造とした場合には断熱性能に期待することができるとともに、ガルバリウム鋼板製であるため長期に渡りメンテナンスフリーにて美観や性能を保つことができるなど、サステナブルな製品であり、今後の展開を大いに期待できる。


    <優秀賞>日本建築協会賞 
    「ワンタッチドアオープナー オストパス」 ナカ工業株式会社

     現在の住宅室内ドアの多くはレバーハンドルで操作しますが、高齢の方や関節リウマチのような手の不自由な方は、レバーを掴む動作が難しく、不便を感じています。そこでレバーハンドルのドアが、ボタンを軽く押すだけで開くようになる変換機「オストパス」を開発しました。
     プッシュハンドル部を押し込むとレバーハンドルが下がり、同時に扉上端のドアオープナー部のバネが反発して自動的にドアが開きます。また、工具不要で簡単に取り付け、取り外しができます。
     「オストパス」であれば、高齢の方や手の不自由な方だけでなく、荷物を抱えた方やお子様など、誰もがドアを簡単に開けれます。形状や使いやすさにこだわり、福祉住環境の各専門家のアドバイス、手の不自由な人へのアンケート、社員自宅への取付検証を経て、完成しました。

      (ナカ工業株式会社URL) https://www.naka-kogyo.co.jp/

    【講 評】

     住宅内装ドアのレバーハンドルを、押すだけの簡単な動作で開けるための後付装置である。握玉ノブが使いにくいことはよく知られているが、高齢者や手・指関節が不自由な方には、レバーハンドルを掴む動作も難しいものである。その点に着目し「オストパス」は社内コンテストで発案され、各専門家や手の不自由な方へのヒアリングを行い、開発された。機構はシンプルで、レバーハンドルに取り付けたオストパスの白いボタンを押し込むとハンドルが下がり、扉の上部パーツのバネが反発してドアが開く。これでレバーハンドルを掴んだり引いたりする動作がいらず、肘での開閉も可能となる。
     取り付けは穴あけ等の工事が不要で、両面テープにて固定。取り外し後の表面材の剥がれ、傷が無く、賃貸住宅でも原状回復負担を気にせず使用できることも評価された。
     お孫さんがおじいさん、おばあさんの為に「ネットで見つけたよ、これいいんじゃない」と気軽に購入、取り付けできるイメージで、ホームセンターやネットで購入可能との事。生活者の身近な視点を評価し、優秀賞にふさわしいとした。


    <優秀賞>大阪府建築士会賞 
    「機能維持耐震天井工法『FMS 天井』」 安田株式会社

     地震大国の日本で人々の暮らしを守り、日常生活を安全に送れるよう開発された、機能維持耐震天井工法『FMS天井』は天井面構成部材重量を2㎏/㎡以下に抑え、国交省告示771号の特定天井には該当せず、さらに告示耐震基準の水平2.2G(安全率1.5倍)をクリア、GBRC建築技術性能証明を取得( GBRC 性能証明 第23-13 号)。
     アルミTバーの特殊なクロス嵌合構造により、フレーム自体で面剛性を確保、様々な素材・デザインの天井面材を選択できる。
     耐震ブレースは天井内部の設備ダクトや構造物と干渉せずに任意の位置に設置(特許取得)が可能、新築・改修を問わず天井の耐震化を実現、交通機関、学校、体育館、プール、病院等、避難場所にあたる建物に安全最適です。

      (安田株式会社URL) https://ashibane.co.jp/

    【講 評】

     従来の超軽量天井と比べ、一対のブレースに対し片側33.1mスパンまで、またスパンの中央部にブレースを配置すれば最大60mスパンまで、フレームを延長することが可能となっている。その特徴は、アルミ製Tバー交差部の特殊な構造の剛性によりブレースへの応力伝達を可能にしたことによるもので、面材に剛性を求めることなく超軽量天井を構成できることも特筆すべき特徴の一つである。またブレースも、前出の許容範囲であれば自由に設置することができ、改修工事や複雑な配管設備を有する施設においても、設計段階から容易に計画を進めることができる上、プレカットされたシンプルな部材構成により高い施工生を有している。応力の伝達をこれまでに無い構造で実現することで、パネル部の性能に自由度が増したFMS天井は、今後も意匠的・施工的な発展を多く秘めており「優秀賞」に相応しい製品として高く評価するものである。


    <優秀賞>日本建築家協会近畿支部賞 
    「チヨダサーキュラせっこうボード」 チヨダウーテ株式会社

     “チヨダサーキュラーせっこうボード”は、原料に廃石膏ボードから作られたリサイクル石膏を100%使用し、製造時のカーボンニュートラルを実現した、世界初のリサイクル石膏ボードです。
     建築で広く利用される石膏ボードですが、利用後の廃石膏ボードをそのまま埋め立てると硫化水素が発生することがある為、廃石膏ボードは管理型最終処分場に処分するよう法律で定めらており、建築現場では厄介なものの一つとなっています。
     また、今後増加が予測される廃石膏ボードの排出量は、2068年にピークを迎える予測となっており、管理型最終処分場の逼迫が社会課題となっています。
     チヨダウーテでは、「チヨダサーキュラーせっこうボード」を通じて、廃石膏ボードの原料活用を促進し、持続可能な社会の構築に向けて貢献します。

      (チヨダウーテ株式会社URL) https://www.chiyoda-ute.co.jp/

    【講 評】

     大量に廃棄される石膏ボード。現場において工業化、軽量化されたゆえに、建材の解体され廃棄される様子は、建築行為に関わるものとしていたたまれない。しかし、一度生成した建材を、同じ形状で再利用することは合理的である。チヨダウーテ株式会社による「チヨダサーキュラせっこうボード」は、そのリサイクルされるルートから、工場のライン、商品化まで、川上から川下までトータルの流れが設計されているのが素晴らしい。
     願わくは、その製品自体の付加価値が、デザインされることによってマークだけでなく可視化や機能化され、リサイクルしたことによるさらなるトレーサビリティーの向上やユーザーの意識向上につながるような方向に進むことをのぞむ次第である。まだまだ、廃棄されてしまう石膏ボードが多い中で、少しでも次の現場でも壁を形成していく材料だと皆が思う時代がくることを予見させる商品であった。


    <優秀賞>大阪府建築士事務所協会賞
    「GAINAルーフ」 株式会社日進産業

     「GAINAルーフ」は高い防水性能に加えて、屋根で発生し屋内に貫流する熱エネルギーを伝導、対流、遠赤外線放射に分解、各々の経路を明確に分け、各々の性質に対応した処置を個別に施し、熱貫流を抑制する新しい概念のルーフィング材である。
     止水性に優れた「チャンピオンルーフィング」の軟質弾性プラスチック基材は熱伝導率も低く、表裏に線状の突起を持つ形状は侵入した雨水を瓦桟で滞留させず、熱伝導経路を長くし熱伝導を抑制する。
     さらに表面(片面)に塗布してある断熱塗材「ガイナ」は、対流、遠赤外線放射による熱エネルギーの移動をコントロールして基材への熱負荷を軽減し野地への熱侵入をおさえる。更に「ガイナ」が有する冬の断熱性能も維持し、対流を起こしにくい表裏の薄い空気層とともに冬の保温にも寄与する。
     また、野地板側の隙間(薄い空気層)はドライエリアとなり、野地板の乾燥にも寄与するルーフィング材である。

      (株式会社日進産業URL) https://www.gaina.co.jp/

    【講 評】

     従来、勾配屋根やロフトは需要が多いが、その形状により熱がこもりやすく、また断熱材を仕込むスペースもない為、居住環境はあまり良くなかった。本製品は、止水性の高いルーフィング基材に断熱塗料を塗布することで、夏季における熱の進入を抑え、冬の熱損失を抑える断熱性能が加わることで、勾配屋根等のデメリットを緩和する機能を持たせている。新築工事だけではなく改修工事にも使える為、幅広い用途での使用が可能である。
     従来の耐熱塗料であれば、塗装足場や塗装職人の人工、乾燥時間等、手間や時間がかかるが、「GAINAルーフ」はそれらの作業等を大幅に削減できる為、コストダウンにつながり、CO2の発生を減らすことにも大いに貢献できる。
     昨今の温暖化により、屋根の断熱性能及び遮熱性能はますます求められることになる、この製品はそれらへの対策を十分に考えられた製品であり、今後の発展を大いに期待したい。


    <特別賞>日本建築材料協会賞
    「『神ゼロガード』ゼロクロメート・ブランカ」 株式会社神山鉄工所

     ☆神ゼロガード(特殊電気メッキ)。
     その中で鉄製品とステンレス製品の2種類に分類される。
     〇鉄製品はゼロクロメート🄬
     ●ステンレス製品はブランカ🄬 に分かれている。
     〇ゼロクロメートはクロムフリーの上、更に紛争鉱物のコバルトも不使用で画期的なめっき処理、且つ、従来品の10倍の耐食性がある。
     ●ブランカはゼロクロメート同様に環境配慮型めっきで、且つ、圧倒的な耐食性をもち、従来品の100倍の耐食性がある。更にステンレス特有の焼付き(カジリ)が起こりにくく、機能性にも優れている。これによりネジ締め作業が簡便になる。

      【株式会社神山鉄工所URL】 https://www.kamiyama-tekkosho.co.jp/

    <特別賞>日本建築材料協会賞
    「KMEW耐火シート」 ケイミュー株式会社

     近年、建設業就業者の減少および高齢化が進み、省施工・短工期な商材・工法が求められています。
     本製品はこれらを解決すべく開発した、窯業系サイディングの耐火構造用シート建材です。わずか0.7 mmの厚さながら、火災時の熱により発泡し熱の伝達を抑制します。従来2枚必要であった屋外側の強化石膏ボードを、1枚+KMEW耐火シートに置き換えることができ、外壁工期を短縮。認定は屋内側仕様も含め取得しています。
     本製品は0.7㎜厚、約1.6 kg/枚と薄く軽量のため、運搬性、加工性、施工性に優れ、工事作業者の負担軽減と工期短縮を実現します。
     また、石膏ボードのわずか5%分の体積であるため、現場の置き場スペースも取らず、さらには、運送時の積載量の削減、現場での廃材量の削減ができ、CO2排出抑制に繋がります。

      【ケイミュー株式会社URL】 https://www.kmew.co.jp/

    <特別賞>日本建築材料協会賞
    「匠能登ひば ひばデッキ」 株式会社ムラモト

     奥能登で育ったこの能登ひばのデッキ材は総赤身勝ちで白蟻や湿気にも強く、腐朽菌の繁殖を抑えるヒノキチオール成分を桧よりも多く含有するなど耐候性としては国産針葉樹で最も強い材料です。
     外国材であるハードウッド系のデッキ材料と比べても加工がしやすく、価格がリーズナブルで足触りも優しく夏場の直射日光の当たる場所でも素足で熱くない、そんなデッキ材になります。
     使いやすい120㎜巾30㎜厚で足触り優しい4角R加工済み、3種類の長さと土台材・束材などのオプション部材もご用意しております。
     奥能登のひばが香るデッキ材をぜひ、ご確認ください。

      【株式会社ムラモトURL】 https://muramoto-sp.com/

TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -